内容 |
モチベーションについては、今日まで数多くの研究が行われてきた。その数多くの研究の中でも、筆者は「欲求」が重要なモチベーションの源泉であると考え、さらに「欲求」の中でも「承認欲求」というものに着目した。太田(2011)は、実際に「承認」がモチベーションに効果をもたらすのかについて、様々な職場での実証研究を行った。その結果、職場における上司から部下への「承認」が、モチベーションに効果を示すという事が明らかとなった。しかし、金銭的・地位的な報酬がなければ、「承認」の効果は小さくなるという事も明らかとなった。そこで、本論文では、運動系部活動においての「承認」がモチベーションにもたらす効果についていくつかの仮説を立て、聞き取り調査から、検証した。本論文の調査では、部活動内において選手だけでなく、マネージャーも「承認」に大きく関わっていると考え、選手・マネージャーそれぞれに対し聞き取りを行った。聞き取り調査の結果から、選手・マネージャー双方で「承認」によるモチベーションの向上が見られる結果となった。しかし、選手においては「承認」よりも「自身の実力」「大会での成果」といった形の報酬のほうが、よりモチベーションに大きな影響をもたらすという結果となった。また、マネージャーは「承認」が報酬の一部であるとも考えられるため、選手以上に「承認」によってモチベーションを左右される存在であると考えられる。 |