内容 |
本研究の目的は、男女間で「いじり」に対する捉え方や価値観にはどのような性差があるのかを明らかにすることである。筆者のいじられ経験より、「いじり」に関するテーマを扱うことにした。「いじり」とは、「親しい友人間における、行為者側に被行為者を傷つける意図や悪意はなく、被行為者も大きな不快感は持ちにくい行為である一方で、被行為者を傷つけてしまう可能性のある行為」である。東北地方、関東地方、関西地方在住の19歳から22歳の大学生計14名(男性7名女性7名)に聞き取り調査を行った。まず坂本(2021)から「身体的特徴」・「氏名」・「過去にあった出来事」・「服装」・「癖」のトピックを抽出し、それぞれのトピックに関するいじられエピソードに対して、その「いじり」の被行為者になった場合、どういう感情を抱くのかを質問した。また普段の親しい友人関係のなかで「いじられキャラ」という役割が定着することに対する当否を質問した。そして、性差を比較し考察した。結果としては、「身体的特徴」と「『いじられキャラ』という役割が定着することに対する当否」の項目において、より強い性差が見られ、全体的に男性の方がいじられることや「いじられキャラ」になることに肯定的な感情を示す傾向にあることが明らかになった。 |