卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名上田 眞士 年度2023年度
タイトルHR部署の観点から見て良いHR管理
内容 各産業分野における世界トップクラスの企業を見ると、企業の業歴の長さに関係なく、激しい資本主義競争で生き残った優良企業が共通的に持つ要素には成功的なHR管理がある。そして、そのHR管理にはシステムや評価制度などの可視的な要素もありながら、組織文化などの非可視的な要素もある。私は成功した企業には成功的なHR管理があり、それが優良企業に成功要因として作用したと思ったため、HR部署の観点から見て良いHR管理というテーマに卒業論文を書くことにした。この論文ではHR部署において必要な力量や注意点、失敗原因、HR部署のあるべき姿及び姿勢が書いてある。そして、論文の構成としては、 第一章:HR管理の沿革と特徴、第二章:変化するHR、 第三章:DX時代のHR、第四章:企業組織文化、 第五章:成果管理となっている。特異点としては、第五章:成果管理のところにインセンティブ戦略の限界というテーマの内容が書いてあることである。この内容について書いた背景としては、最近の現代社会では成果主義及びインセンティブ万能論があり、インセンティブ制度の良い点だけが強調される傾向があるが、実はインセンティブ制度は万能ではなく多様なデメリットも存在する制度であるため、インセンティブ制度のデメリット及びHR部署のインセンティブ制度に対するあるべき姿勢について論じたかったためである。
講評 皆さんの卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「WLBと柔軟な働き方」「障害者雇用など様々な雇用問題」「人事評価の公平性やHR管理の重要性,社内教育,DXによる組織沿革」「日本的雇用の危うさや新卒一括採用の問題点」「戦争体験と経営者」等々となっています。たしかに個々の論文を取り上げてみると,その内容に精粗や優劣もあったように思います。けれども,基本的にはゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労した研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを全体に向けた卒論作業を締め括る講評としたいと思います。
 まず,自らの選定したテーマに沿って,関連する先行文献をしっかり読んで欲しい。この点を第一に指摘をしておきたいと思います。研究主題に沿って,より多くの関連文献を渉猟している論文ほど,出来映えが良いと思われました。それによって,曖昧模糊としていた問題意識も鮮明化することになるし,課題の掘り下げも深まるからだと思います。具体的な現実を取り上げ,論じるに当たって「素手」で対象に取り組んではいけない。方法的な準備として,認識の枠組みをしっかり作って取り組むことが重要だと思います。昔,私が先生から教わったことを繰り返せば,高い建物を建てるためには,広い土台が必要になる。そのように考えて貰いたいと思います。
 また第二に現実の雇用社会の問題を論じる際には,マルクスの昔の有名な言葉をもじって言えば,肯定的な理解とともに否定的な理解も合わせ持って欲しい。要するに,批判的な研究であって欲しいということです。雇用社会の現実は,それが成立した「秩序」である以上,自らの存在の根拠をもっています。しかし,その現実をただ肯定するだけではつまらない。それがはらんだ無理や矛盾にも目を向けて欲しい。そういう要望です。やはり現実理解には,そのような複眼的な視点が必要だと思います。
 とはいえ,先人の言葉にもあるように「言うは易く,行うは難し」。評価の基準というよりも,現実理解に際した心がけだ思って下さい。
キーワード1 HR管理の沿革
キーワード2 変化するIR
キーワード3 DX時代のIR
キーワード4 組織文化
キーワード5 成果管理