内容 |
近年、金融業界では一般職・総合職の区分を廃止し、職種を統合して限定正社員制度を導入する企業が増加している。このような流れは、女性の社会進出などにより一般職という職種が限界を迎えたからだと考えた。そこで、職種統合はどのようにして生じたのか、また、この新しい限定正社員制度がどのような制度なのかを理解することで、歴史の浅いこの限定正社員制度の今後の可能性を理解することができると考え、研究を進めた。
本論文では、初めに一般職と限定正社員の定義を整理し、限定正社員制度の課題と現状について理解した。そのうえで、制度導入の背景や制度内容の詳細、そして、制度導入前後での社員の働き方の変化や苦労を、実際に限定正社員制度を導入している企業に聞き取り調査を行った。この調査や文献での企業事例を踏まえ、限定正社員制度の導入に伴う課題は①無限定正社員と限定正社員の差をどのようにつけるのか(主に給与と評価)②新たな制度設計を社内にいかにして普及させるかの2つだと考えた。①の処遇差をはじめとした制度やルール作りはもちろん重要であるが、社内に制度とその趣旨にそった働き方を普及・浸透させる
ための雰囲気や風土づくりが限定正社員制度を導入するうえでは最も重要になるのではないかと述べている。 |