内容 |
本論文では、保育士の労働環境や現在問題視されている課題点を整理した上で、子育てをしながら働く保育士がどのように仕事と家庭を両立させているのかを検討した。先行研究では、子育てのプロとして保護者や周囲からのプレッシャーを抱えながら、自身の子どもと向き合う中での理想と現実の違いに葛藤があることがわかった。そのような葛藤とどのように向き合い勤続しているのかを分析するため、子育て経験のある保育士三人に聞き取り調査を実施した。
調査の結果、子育てをしながら働き続けることにはやりがいの他に金銭的な理由が大きく、自身の子どもとの時間を削ることに強く葛藤をもっていることがわかった。加えて、出産前と同量の仕事量、労働時間で働きながらも保育士たちは家事や育児の殆どを行っているため、出産前よりも負担が大きい傾向がみられた。
このことから、現段階では、子育てを行いながら保育士として仕事を継続することは保育士自身の負担が大きくなり、WLBの両立が出来ているとはいいにくい状況である。これらを改善するために、夫や周囲が家庭のことに協力することは勿論、経験を積んだ保育士や園長が積極的に労働環境を独自に変革し、多様性のある働き方を徐々に定着させることが必要であると考えられる。 |