卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名寺井 基博 年度2023年度
タイトル女性による仕事と育児の両立に向けて
内容 本論文は、女性が仕事と育児を両立するための方策を見出すことが目的である。問題について考えるに先立って、働く母親の実態とこれまで日本政府が打ち出してきた支援策を振り返った結果、女性の自己実現は真の意味でまだ程遠いことが明らかとなった。そこで、働く母親を取り巻く4つの環境要因(①仕事環境、②家族環境、③地域の子育て支援、④キャリア意識)について先行研究をもとに考察したところ、根本的原因は①仕事環境④キャリア意識の問題を包含する「日本の働き方そのもの」であるという答えを導いた。性別役割分業意識のような凝り固まった価値観が根強い中、長時間労働や転勤、ノルマ必達を要求する日本の雇用システム下においては、女性のライフステージを配慮した多様で柔軟な働き方を当てはめることは困難である。いまある雇用慣行を一気に覆すことは困難であるが、多様性を認める社会の意識改革とともに雇用の在り方も徐々に切り崩して改善していく必要があるだろう。そのためには、当事者である労働者自身も政府や企業頼みの受け身の姿勢を取るのではなく、問題意識をもって自らアクションを起こすことが重要である。
講評 本論文は、女性が仕事と育児を両立するための方策を明らかにしようとする文献研究である。仕事と育児の両立が困難な要因を「仕事環境」「家族環境」「地域の子育て環境」「キャリア意識」4つに分けて、それぞれについて先行研究の内容を整理している。とくに「仕事環境」に着目して、勤務地や労働時間について無限定な働き方を原則とする日本の雇用形態が女性の働き難さの大きな要因になると分析している。本論文は、先行文献を丹念に読み込んだ力作である。
キーワード1 日本型雇用
キーワード2 性別役割分担意識
キーワード3 育児休暇
キーワード4 少子化
キーワード5 ワークライフバランス