卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名寺井 基博 年度2023年度
タイトル小学校教員の過重労働とメンタルヘルス
内容 本論文では、小学校教員の過重労働とメンタルヘルスの問題に目を向け、その職場環境の劣悪さについて論じ、教員が働きやすい社会を実現するために、社会はどう変わっていくべきかについて記述している。2章から5章では教員の労働環境の現状を整理したのち、過重労働に陥る要因、劣悪な労働環境が周囲に与える影響について分析を行った。そして6、7章では過重労働問題の改善策について学者の意見を取り上げ、現在教員として働かれている2名に職場環境に関する実態調査を行った。その結果、①長時間労働とメンタルヘルス悪化に関して直接的な相関関係があるとは言えず、周囲との関係性など様々や要因が積み重なることが精神状態の悪化に繋がるということ②教員が直接的な教育活動以外にも様々な仕事を担っており、教員に期待されている業務の幅が広がったことが長時間労働に繋がっていることが明らかになった。以上より、教員の過重労働を改善していくには、このような実態を学校内の問題であるとなおざりにするのではなく、地域社会、学校、保護者含め社会全体の問題として捉え対処していく必要があると考えている。
講評 本論文は、インタビュー調査を通して小学校教員の過重労働の要因を明らかにして、その対応を模索した実証的研究である。先行文献の整理により、業務の広がり(直接的教育活動とその他の活動)、業務体制(教員不足など)、人間関係などの諸要因があることを確認して、教員へのインタビュー調査の結果に基づいてそれらの諸要因を考察している。インタビュー調査では、長時間労働とメンタルヘルス悪化に直接的な相関性は認められず、保護者対応などの教育活動以外の活動による影響が強いこと、さらに業務の広がりが長時間労働をもたらしていることが分かった。こうした労働環境によって教員不足となり、労働時間がさらに進むという悪循環を生じさせていることから、教員の業務負担軽減を地域社会全体でどのように実現するかが重要な課題であるとする。インタビュー調査による実証的な手堅い論文である。
キーワード1 長時間労働
キーワード2 メンタルヘルス
キーワード3 教員不足
キーワード4
キーワード5