内容 |
旅行には誰もが期間を問わず、五感を通じ新たな知見を得ることができるという意味で生涯学習の要素がある。以上の考えに立ち本論文は展開される。そして、旅行の持つ生涯学習的効用が効果的に作用するためには、どのような要素が重要であるのかを考察し、学校の研修旅行に応用できる指標を導き出すことがテーマとなっている。
具体的には、周囲の大学生に「旅行の準備」、「周遊コース」、「宿泊先」などの様々な旅行の要素の満足度と、「発見」、「成長」などを含む旅行の総合的な満足度を訪ねるアンケート調査を行い、旅行の質を高める要素の考察を行なわれている。その中から、旅行の純度が濃いと考えられる個人旅行経験者に対するインタビュー調査を行い、旅行者の経験した具体的な「発見」や「学び」が考察されている。
旅行の形態において、近代化の中で「与えられた冒険」に成り下がってしまったとは言え、依然として旅のイニシアチブを旅行者が握るバックパッキングスタイルが自己成長などの生涯学習の要素が色濃く存在する形態だと言われてきたが、調査を通じて、旅行の形態を問わず、旅行者の主体性に生涯学習の要素は委ねられているのだということが明らかになった。 |