学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | 「言葉」を受けとる営み ―絵本セラピーと学習塾における「読むことの揺らぎ」のあり方― |
内容 | 本稿は、「読む」ことをめぐって言葉から人が切り離され、定義や正解ばかりが重要視されることへの違和感から出発し、本来の「揺らぎをまなざす読み方」に立ち戻る方途を示すことを目的とする。そのために、オングやインゴルドといった思想家の言語論を踏まえ、「絵本セラピー」と「学習塾」でのフィールドワークを通して、言葉と受け手の関係性に着目し、言葉が人と結び付く事例や、その結び付きのなかで言葉の意味が揺らぐ事例の考察を行った。絵本セラピーでは、言葉が受け手の記憶と強く結び付く事例がみられ、学習塾においては、「客観性」を求める読み方が子どもたちの「読む」ことへの拒絶や諦めを引き起こしている事例がみられた。これらのことから、受け手と言葉の結び付きと、そこから生じる「揺らぎ」を捉えようとすることは、言葉が揺らぐ存在であることを改めて捉え直し、現代における言葉の沈静化の呪縛を打破し、「読む」ことを、言葉の揺らぎをまなざす「本来の形」に回帰させることの可能性を示すといえる。 |
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講評 | 絵本セラピーや学習塾といったフィールドでの言葉の用いられ方を丁寧に取り上げ、言葉を介して人と人とが関わりあうことの、些細でありながら豊かな風景を描き出す論考である。オングやインゴルドといった思想家たちの言語論を下地として、筆者は、言葉が受け取られる際の意味の多彩な広がりを「揺らぎ」と名づけ、それを起点に、固着化され沈静化されがちな言葉の働きを改めて賦活させることを目指す。思想家たちが十分に評価しきれなかった文字の可能性をも開くような、さらに今日の教育(教科教育に限らない)をめぐる言葉の可能性を開くような論考である。 |
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キーワード1 | 言葉 |
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キーワード2 | 人 |
キーワード3 | 意味の揺らぎ |
キーワード4 | 読むこと |
キーワード5 |