学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | フライト訓練の身体知 ―フライトスキル獲得過程における訓練生の学習と教官の教授方法― |
内容 | 本稿は、フライトスキルの学習過程と教授方法の身体知を感覚的・知覚的側面から明らかにすることを目的としている。筆者が海外の大学航空系学部に在籍してフライト訓練を受けていたころの、「教官はどのように自身の技術を教えるのか」という疑問が発端である。フライトのスキル学習に関する研究には十分な蓄積がなく、あっても計器のデータやフライトデータ等を用いた定量的研究が中心であった。本稿では定性的側面から、感覚や知覚などの「わざ」と捉えられる、言語化し難いフライトスキルの学習と教授方法に迫った。筆者自身の一人称的経験をもとにした分析、および現役パイロットへのインタビューを題材とすることで、コックピット内のパイロットの身体の動きを超えて、機体の状態や動きから伝わる独特な感覚の感じ方に鍵があることが示された。訓練生は、教官の模倣や反復、座学の知識などから感覚を体内に蓄積していく。教官はこれらの感覚を訓練生に伝える際に「わざ言語」や見本の提示、目線の誘導などを組み合わせていることが明らかになった。 |
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講評 | パイロットのフライトスキル習得というユニークなテーマを扱った論考である。自身もフライト免許を持つ立場として、一人称的な経験の記述も豊富にふまえながら学習や教授のプロセスを明らかにする。複雑なテクノロジーを使いこなすエンジニア的知識をベースとしつつ、「空気のクッション」を感じるかどうかといった感覚的な認識を得ることでフライトスキルは習得される。操縦できるからといって教えられるとは限らない。すべてを標準化することの困難な、個人の感覚を根拠とする身体知をめぐる知恵と工夫を言語化しえた労作である。 |
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キーワード1 | 身体知 |
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キーワード2 | 暗黙知 |
キーワード3 | 身体知獲得 |
キーワード4 | フライト訓練 |
キーワード5 | わざ言語 |